2014年10月18日土曜日

シーカヤック海旅塾・湯浅湾 再入塾!  ~後編~

翌朝。
雨は上がり青空が広がる気持ちのいい天気でした。
が、目の前の海は明らかにうねりが入り、白波が砕ける油断を許さないサーフゾーンになっていました。


朝ご飯は各自、のはずなのですが昨夜の残り物でみんな満腹してしまいました。

午前中の講義は「海からの視点」と「自由」についてです。
島国・日本に暮らす僕たちにとって、海からの視点の大切さとは。そしてそれを身に付けるためにはどうしたらいいのか。
自由とはなんなのか。
そうしたことを考えながらカヤックや太古から続く舟の文化伝統についても思索を深めていきます。

午後、お昼ご飯を食べてからみんなでどうするかを考えます。
すぐに出発するのか、どこへ行くのか。
天気、海況、そして上陸適地を考慮して総合的に判断しますが、そこにはどうしても勘のようなものも大きなウェイトを占めます。
それを「海気を読む」と表現するのが海旅塾塾生と瀬戸内カヤック横断隊隊士の間で最近流行っているのですが、この「海気」という言葉自体は辞書にも載っているので、本当はもっと普通に使っていたのかもしれません。

日本人はとてつもなく多くの事、大切な物を忘れてしまっているのかもしれません。


砕波帯(サーフゾーン)の離陸もまた、着陸するのと同じように危険があります。
波のタイミングを見計らって素早くカヤックに乗り込み、安全圏へとダッシュします。
海上へ出てしまうとゆるやかにうねりを感じる程度で危険はぐっと減ります。
そして着陸予定地を目指しました。
目指すは鷹島です。


鷹島は縄文土器も出土する古くから人々が暮らした島で、古代の瀬戸内、それだけではなく日本全国にまたがる海上交通の要衝だったと想像できる島です。
その鷹島にある浜はどんな時化でも安全に上陸できると言われ、僕たちもその浜に着陸しました。

ですが鷹島の浜は台風18号の影響で砂浜がほぼ消滅し、ほとんどゴロタ浜になっていました。
目の前の入り江にはたくさんの釣り筏が浮かび、日中は釣り客が絶えず、その送迎の船も出入りします。
なんとなく嫌だなあ、ということでこの浜を離れ、別の浜を目指しました。


今度の浜は前回僕も野営した浜です。
ところが浜に近付くとどうも様子が変わっています。
僕の目にはテントを張れるスペースもなさそうに見え、大きな波がどんどん入ってきていて明日の出発が危ぶまれるどころか今、着陸するのも危険なように感じました。

それでも慎重にみんなで着陸してみました。
大きな波には周期があり、そのタイミングさえ間違わなければ危険は少ないです。
やれやれ、と上陸してみたものの、浜を歩いてみてやはりここには野営できるだけのスペースはなく、満潮時には浜のほとんどが波に洗われてしまうことが分かりました。
仕方なく再び海へ。

すでに台風19号の影響が顕著に現れ、浜辺での野営は明日の出発にリスクを伴うと判断し、やむなく須原海岸のアイランドストリームのベースに戻ることにしました。
須原海岸に着陸したのは夕やみ迫る16時半でした。


ベースに戻ってきたからと言って海旅塾が終了したわけではありません。
ベースに戻るという判断もまた海旅塾で学ぶことであり、もちろん講義も続けられました。
海旅っぽさを継続するためにヘッドライト以外の電灯は使わないことにしました。シャワーも誰も浴びませんでした。
そうするだけで文明社会から離れて野営している気分になり、海旅が続いている実感がありました。
平田航師の豆乳鍋も格別で、ついつい食べ過ぎてしまいました。

この日の夜の講義は21時過ぎまで掛かり、その後も内田塾長の名調子は疲れも知らず夜は更けていくのでした。
この夜は各自テントで寝ました。


三日目の朝を迎えました。
道路の向こう、須原海岸に打ち寄せる波は確実に大きくなっていました。

午前中は講義。
海洋教育、そして環境教育は法律で促進することが定められています。
国の、国民の責務なのです。
そうした教育のツールとしてのシーカヤッキングのあり方。
シーカヤック屋さんを開業して二年目の僕には身の引き締まる思いがありました。


そして午後。
最後の講義は「振り返り」です。
三日間の総括として講義を振り返り、学んだことを確認します。

僕にとっては二回目となった海旅塾でしたが、同じ講義なはずなのに違うお話が多く、それなのに前回の理解をさらに深めることができ、いろんなことを確信する連続でした。

驚き、気づき、想い、学び、賜る。

海旅塾はシーカヤックの世界を海よりも深く、空よりも高くし、心も身体も解放するような気がします。
それは内田塾長と平田航師が海を旅して学んだこと、賜ったものを、海旅塾を通してより多くの人たちに知ってもらおうとする想いがあるからです。
賜ったものを次の世代に語り継ぐこと。この想いこそが海旅塾の魅力であり、これからの時代に生きる人たちに求められるのはないでしょうか。

今回も内田塾長、平田航師、ありがとうございました。
一緒に勉強したMちゃんも、ご飯の支度やコーヒーの準備など、細やかな配慮に感謝です。


そして。
次回のシーカヤック海旅塾は三重県南伊勢町で開講します。
場所は古和浦。
座佐の浜を初めとする国内屈指のシーカヤックの好フィールドで、塾長・内田正洋とサニーコーストカヤックス本橋が航師として講義します。
くわしくはホームページをご確認ください!




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