2013年12月27日金曜日

~一枚の写真から綴る~ 第11次瀬戸内カヤック横断隊 参加報告7

11月20日水曜日。
午後4時、NHKラジオ第二放送にチューニングを合わせる。
気象通報を聞き取り、天気図用紙に各地の天気、風向風速、そして気圧を記入していく。


手慣れた調子で次々書き込んでいるのはモンベルに勤める岩野さん。
今年行ってきた知床シーカヤックシンポジウムで新谷さんにお会いして色々と刺激をいただいてきたそうだ。
気象通報から天気図を聞き取り、現実的に実用的に使っているシーカヤックガイドは新谷さんしか僕は知らない。理由は知床半島では携帯電話が使えないからだ。

岩野さんは先日、スマートフォンを辞めていわゆるガラケーに戻してしまった。もちろんガラケーでもネットを介して天気予報も天気図も見ることはできるが電池の消耗が激しい。
横断隊のような7日間漕ぐ旅の場合、電源の予備の確保は重要だ。
しかし岩野さんの場合それが気にならなくなった。ガラケーはたまにオンにするだけ。そして天気予報はラジオから得る。ラジオはすこぶる燃費が良い。
荷物が少なくなった~、と喜んでいた。

僕らはスマホという高度に便利な道具を使い、詳細なデータをネットから得る。
そのために予備の電池をたくさん用意する。僕はソーラーバッテリーチャージャーを前回から持っていくようになった。
便利だ便利だと喜びながら、道具が増えていく。荷物が重くなる。お金も掛かる。

ラジオと天気図用紙とエンピツさえあれば天気図を書き起こし、自分で天気を予測することもできることを忘れていた。お恥ずかしい。
道具はシンプルなほうがいい。
そうすると旅はもっと楽しくなる。
学生時代には当たり前だったことを思い出し、ちょっと懐かしむ。

出来た!と岩野さんが言う。
昼過ぎにスマホで確認した天気図が用紙の上に再現されていた。


大三島南岸のよくお世話になる浜辺で空を見上げる。雲の動きは未だに速い。
午前中の早い時間に岡村島からここまで漕いできたが、その後風が上がり動けなくなってしまい結局停滞となった。

今回の横断隊では天気を読むことがとても重要だったシーンが多かったように思う。
そしてみんなの観天望気にも非常に興味をもったものだ。
湯浅湾アイランドストリーム平田さんが上空の風は数時間後に地上に降りてくるからこの後風向きが変わるかもしれないと言う。
白石島の民宿はらだの原田さんが雲を見詰めてこりゃあ風が上がりよると言う。

天気はネットやラジオから情報を得るだけではなく、現場でもまた得られるものだと改めて思った。
砂を巻き上げて吹き抜けていく西風に吹かれながら、注意深く空を、雲を、海を見詰めた。

残りあと2日間だ。


航海ログ
11月20日
06:30 ブリーフィング
06:50 岡村島南岸 観音崎 出発
08:10 大三島南岸 到着
10:00 ミーティング 待機決定
11:30 再ミーティング 偵察へ
13:30 再々ミーティング 停滞決定

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